確率~ド・メレの2つのダイス
ド・メレはパスカルにもう一つ質問をしている。それがギャンブルの世界、そして確率論者の間で有名な「ド・メレの2つのダイス」である。ダイスとはサイコロのこと。
質問は次のような内容である。
「サイコロを2つ何度か振って、両方とも6が出る確率が2分の1以上になるには何度振ればよいか。」
ド・メレは1つのサイコロの場合を考えた。
サイコロが一つであれば6が出る確率は6分の1だ。2分の1の確率にするには4回振ればいい。
1/6 × 4 = 4/6 = 2/3
少しわかりにくいので解説すると、6分の1は17%。2分の1以上にしたいのだから、50%以上になればいい。3分の2は66%なのでド・メレの求める回答となる。
そして同じようにサイコロが2つの場合を考えた。
サイコロが2つの場合は両方6が出る確率は6分の1と6分の1をかける。一つのサイコロの6が出る確率同士をかけるのだ。すると36分の1となる。サイコロ1つの時と同じように計算して24回振れば、両方6が出る確率がサイコロ1つの時と同じく3分の2になると考えた。
1/36 × 24 = 24/36 = 2/3
しかし、これは間違っている。
パスカルはこう指摘した。
「出る確率ではなく出ない確率から計算するのです。」
ド・メレが計算した回数の、出ない確率を計算すると以下のようになる。
5/6 × 5/6 × 5/6 × 5/6
1つのサイコロで、6が出ない確率は6分の5。ダイスが4回振られた時の計算式だ。
この答えを1から引くと、0.518。これに100を賭けると51.8%となる。
同じようにサイコロが2つの時を計算すると49.1%となる。
ド・メレの計算では60%と高い確率であったにも関わらず実際の計算ではかなり低くなっている。
ド・メレは間違った計算で大損をした。
確率に回数をかけるのではなく回数分確率をかけなければならない。シンプルだが大きな落とし穴だ。
そして出ない確率から計算すること。これも重要だ。
実際テクニックを使う上でここまで詳細を調べ上げることは、それほど重要ではない。しかし、上の問題を解けなかった、ド・メレの回答に納得してしまったなら要注意だ。テクニックを作る上で間違った解釈をしてしまうといけない。
そしてこの知識は、ギャンブルの不利、有利を知る上で重要な知識となる。