たいていの人は「絶対に負けないテクニック」を見つけたがる。それは大きな違いだ。

私もかつてはそうだった。絶対に負けないテクニックを探した。その結果はどうだったか。

新しいビジネスを始めると人は希望にあふれるものだ。私がオンラインカジノを始めた時はまさに希望に満ちていた。成功した自分を鮮明に想像できた。

しかし、始めたばかりで成功させてくれるほど甘いものではない。何度も何度も失敗した。それでもくじけることはなかった。失敗しても悲しくはなかった。それは希望しかなかったから。

「次はどんな手を使ってやろう」と絶対に負けないテクニックを何日も考えた。それだけを常に考えていた。そして「自分はこれで勝てる、このテクニックなら絶対に負けない」と確信したとき、会社を辞めた。

今となってはとても貴重な経験として語ることができるが、それからの日々は地獄そのものだった。

私には時間がなかった。常に何かの支払いに追われる。オンラインカジノを続けるにはインターネット環境が必要だ。毎月支払わなければならない。家賃もかかる。食事だってとらなければならない。時間は迫っていく。お金がなくなっても、待ってはくれない。

そんな状況でも私は希望にあふれていた。次から次へとテクニックを考え出した。何百時間も勝ち続けられるテクニックだ。今考えるとカジノの世界でそれほど勝ち続けるということは画期的だ。そんなテクニックを探してどれだけの人が身を滅ぼしたろう。

しかし、私が想像した成功した後の自分に会うことはなかった。

ここで私が犯した1番の過ちは、絶対に勝てると確信したことだ。前にも述べたが、どんなテクニックを使おうとも、それが何百時間勝ち続けられるテクニックだとしても、必ず負ける時が来るのだ。

私がそれに気付いたのは2年ほどたった後だった。そのころには取り返しもつかないほど生活は狂っていた。何もかも失ったと言っていいだろう。余裕もなく、お金もなく、そして希望もなかった。

絶対に負けないテクニックなど存在しない。これがどれほど重要か私が気付くには時間がたちすぎていたのだ。

恥ずかしながらそれから私の生活改善がスタートした。まともに働き、生活に余裕を持たせることができるようになった私は今迄の経験を活かし、再びオンラインカジノに挑戦した。

「絶対に負けないテクニック」を探さなくなった私は勝つことができたのだ。