つい最近までは自分でビジネスを始めるのは、大変なことで、一部の幸運な人間にしか無理だと思っていた。店を持つにしても、会社を立ち上げるにしても、自分ひとりで実現させるには大変な労力が必要だ。かといって投資してもらうには、十分に準備をして人を驚かせるようなネタをこれでもかというくらい考え、誰にも負けない熱い情熱が必要だ。そもそも、投資してもらえるだけの人脈が必要なのだ。

学歴もない、キャリアもない、資格も持たない我々のような凡人は一生会社に雇われ働き続けて、一生を終える。それ自体素敵な人生だと思う。しかし、それでは納得できない人もいるだろう。

私は若い頃よく悔しい思いをした。それは仕事ができない、失敗するといったものもあったが、それとは別のものである。

やりたいことはある。情熱だってある。アイディアだって有り余るほどに持っていた。しかし、それだけでは世の中は認めてはくれない。

まず、その情熱をうまく器用に説明できなければならなかった。若い私には難しいことだ。ここに納得できなかった。これほどまでにやりたいことがあって小さいころから追いかけてきた夢を、たった数分話を聞いた人にあしらわれチャンスを逃してしまうのだ。考えてみれば、小さいころからの夢を何年も何年も、大人になってからもずっと追い続けていること自体、努力と言えないだろうか。お金、家庭環境、両親の教育、さまざまな環境が影響して、たまたまそれまで違う道を歩んできただけなのに、今になってこの道を進みたいと決意したことがどうしていけないのか、それを器用に説明できないことの何がいけないのか。当時の私には理解できなかった。

あなたもそんな思いをしたことが少なからずあるはずだ。自分が追いかけてきたものを諦めるのは、首を絞められるくらい辛い。全てを奪われるくらい辛いことなのだ。もしも、自分で自分の決めた道を歩む手段を知っていたら、どうしていただろうか。経験がない、知識がない、即戦力にならない。そんな安っぽい理由で芽を出せなかった才能が世の中そこらじゅうに埋もれているだろう。その才能を使うために、必要な道を歩める手段を見つけられたなら、あなたはどうするだろうか。

私にとってサイドビジネスを始めるということは、そう言うことだった。