カウンティングはどう有効なのか①
有利なタイミングを選ぶためのテクニック
カウンティングの基本的な戦略は出てきたカードを観察し、タイミングを狙うことにある。これは一体何のために行うのかというと、出てきたカードから期待値を予測し、勝ちやすい状況の中で賭けるためである。
実際は少し複雑だがわかりやすく単純な例を出そう。
弱いカード(Aを除いた6以下)ばかりが出てきた場合、次は強いカードが現れると予測し、賭けるのが基本的なプレーである。実際はもう少しいろいろな要素が加わるが、基本的な考え方としてこれが大まかな戦略となる。
これだけの説明でもうすでにわかると思うが、とても理論的ではない。弱いカードが出てきたからと言って、デッキの中の強いカードが占める割合が大きく動いたわけではない。さらに言えば、次に出てくるカードが強いカードであるという確率もあいまいで、もし強いカードが出てきたとして、複数のプレーヤーがいる中で自分のところにそのカードがタイミングよく配られる可能性も特別高いわけではない。もっといえば、ディーラーの手元に来るカードが強いカードである可能性だって、プレーヤーと同じなのだ。
1デッキや2デッキでゲームを進めるならまだしも、8デッキゲームの中でたとえ半分になったところで、強いカードが現れるタイミングを知るのは至難の業だ。
では、カウンティングは一体どのようなテクニックに位置付けられるのか。
今まで出てきたカードを観察し数えるわけだから、もちろん確率的にほんの少し期待値が変動することはあるだろう。しかし、それはデッキ全体を見たときの話であり、ゲーム1回で使われるカードはほんの数十枚。その数十枚に限って言えば、確率的にはほぼ変わらないと言っていいだろう。
ここまで読んで納得した人がいるのなら、それは大きな間違いである。
デッキ全体で期待値がほんの少し上がったとしたら、期待値はいくらになるかを考えてみてほしい。ブラックジャックの期待値はもともと95%~98%。それがたった1%でも上がればどれほど勝ちやすくなるのか。ただでさえ100%に近いゲームがさらに100%に近づくのだ。